index
迎酒
バーテン:いらっしゃいませ
(重々しく席に座るお客さん) 
バーテン:あれっ今日はダルそうですね。 
お客さん:二日酔いでなー。胸がスッキリせえへんし~。 
バーテン:じゃあ、烏龍茶でもだしましょか? 
お客さん:何言うてんねん。とりあえずビールや。
(こんな時は、まっすぐに帰宅してアッサリとお茶漬けでも食べて寝るのがお薦め) 
バーテン:レッド・アイでもしましょうか。ビールをトマトジュースで割ったカクテルです。
お客さん:なんや、けったいなもん、薦めよるな。何でもいいわ。それちょうだい。 
バーテン:元々、モーニングドリンクなんですけどね。二日酔いに効くというか、迎酒というか。 
お客さん:おっ!意外とアッサリしてて、旨いなぁ~。 
バーテン:他にも、ジンフィズ、ブラッディー・マリー等もありますよ。 
お客さん:ジンフィズなんかきつい酒が、モーニングドリンクか? 
バーテン:昔はジンフィズと言うのは、牛乳が入ってたんです。胃を刺激しなくするためなんですよ。 
       それとこれは伺った話で私も試したことがありますが、飲み過ぎて二日酔いになりそうなときは 
       寝る前にバファリン(出来れば小児用)を飲んで寝ると、次の日がスッキリしますよ。 
(ズキ~ンズキ~ンと、頭が痛くなるのは血液の流れが悪くなるため。
 バファリンには血液をスムーズに流す 作用が含まれているそうです。) 
お客さん:ふぅ~ん。ココにバファリンはあるか? 
バーテン:もう、手遅れです。 
*バーテンダーとして一言・・・二日酔い酒で紛らす三日良い
これが本当のカクテル?
バーテン: お飲物は如何致しましょうか? 
お客さん: マティーニ・ソーダ下さい。 
バーテン: えっ、ジンリッキーでよろしいですか?
お客さん: マティーニ・ソーダって知らんの? 
バーテン: それ、もしかしたら、某社のカクテル缶シリーズですか? 
お客さん: 知ってるやん。 
バーテン: マティーニをソーダで割るなんか!それでもと、言うのなら・・・。 
お客さん: まぁ、一度作ってや。 
バーテン: かしこまりました。 
(いいかげんにしてや、マティーニはカクテルの王様やぞ!) 
バーテン: はい、どうぞ 
お客さん: えっ、全然違う。甘さがないし、レモン味もないから、飲みにくいなぁ。 
バーテン: お客さん:、缶の出来合い物と比べてもらったら、困りなすわ! 
お客さん: ほんまやなぁ。やっぱり、カクテルは、こんな所で飲まな、あかんわ。 
バーテン: 解っていただけたら、作りがいがあります。 
(しばらくして) 
お客さん: 次は、シンガポールスリング。 
バーテン: かしこまりました。 
お客さん:えっ、これもちゃうなぁ。
バーテン:もう、比べることじたいがおかしいって言ってるじゃないですか! 
*バーテンダーとして一言・・・本物を飲みに来い
夜明けにはマティーニ
お客さん:この時季、いろいろ美味しいけど、中でもこれや!と、言うの教えてや! 
バーテン:う~ん。やっぱり夜明けに飲むマティーニでしょう。 
お客さん:今飲む酒と違うんか。 
バーテン:春と秋、中途半端な季節にははっきりしたのもが旨い。 
お客さん:季節に逆らってるみたいやなぁ。 
バーテン:作り方を教えますので、試してください。 
       まず、ロックグラスを用意します。指が底までとどけばOK. 
       冷凍庫から、氷を取り出しグラスに入れる。3,4個。 
       ドライベルモット(私はノイリー・プラット)を注ぐ。 
       指でかき混ぜた後、氷を残したままで、ベルモットを捨てる。 
お客さん:もったいないなぁ。 
バーテン:まぁまぁ、そこにジンを飲みたい量だけ入れる。 
       また指でかき混ぜる。そして、氷だけ取り除く。 
       ポッカ100レモンを1滴入れる。 レモンがある場合は、
       皮だけを一片削いで入れ込む。 
お客さん:それ、マティーニか? 
バーテン:ベルモットリンス法で仕上げた自家製マティーニですよ。 
お客さん:夜明けじゃないとあかんのか? 
バーテン:少し、肌寒い時が一番旨い。 
お客さん:それから起きとくんか? 
バーテン:勿論、もう一度寝ます。 
*バーテンダーとして一言・・・風邪をひかないようにね。
最後の〆はトムコリンズ?
お客さん:じゃあ 最後の〆にトムコリンズでも飲もうか。〆のトムコリンズ下さい。 
バーテン:もうオールドトムジンが終売に成ったためジンフィズを少し甘めにお作りしましょうか?
お客さん:何でも良いわ。任すさかい作って。 
バーテン:はい、お作りします。
お客さん:なぁ トムコリンズを注文するとバーテンさんはこれで〆だってわかるんやろう。 
バーテン:えっ。そんな話知りませんけど。 
お客さん:バンコクのとあるホテルで駐在してる上司にご馳走になったとき、
       トムコリンズを頼むといつもお勘定がくるで。 
バーテン:昔は良くジョンコリンズ、トムコリンズと作りましたが一度もそんな話きいたこと無いですよ。
お客さん:バーテンさんは知らんだけちゃう。一回調べとき。 
バーテン:行きつけのBARなどでお客様を接待するときに、わざわざお勘定などと言うと相手に気を使わ
       せるので、従業員の方と打ち合わせしてるんちゃいますか? 
お客さん:あっ、そう言う事か。 
バーテン:まぁ、私も調べておきますけど・・・。
*バーテンダーとして一言・・・調べた結果も分かりませんでした
日本のハイボール
お客さん: 久しぶりに、これ(キープしてあるウイスキー)をハイボールにして。 
バーテン: はい。ソーダで割るんですね。 
お客さん: あたりまえやんか。あっ、まだ君が生まれる前の流行やもんなぁ。知らんで当然やろう。 
バーテン:違います。お客さんの方が知らないだけです。 
お客さん:ウイスキーをソーダで割ったものがハイボールちゃうの? 
バーテン: 確かにそれもハイボールといいます。日本では。 
お客さん: 日本では、おかしな事を言うなぁ。 
バーテン: ご存知の通り、カクテルの歴史は世界の方が古い。 外国では、
       蒸留酒をトニックウォーター・ジンジャーエール・コーラ等で 割ったものを
       ハイボールの仲間に入れてるんです。 
お客さん: つまり、炭酸で割ったらハイボールか? 
バーテン: 水で割ったものもハイボールです。 
お客さん: 水は水割りやないかぁ。 
バーテン: 原則としてタンブラーに入れて、
       長時間かけて飲むロングドリンクは、ハイボールの仲間なんです。 
*バーテンダーとして一言・・・常連客以外にこんな事言うと叱られます。
お好みのカクテルは?
バーテン:お飲物は如何致しましょうか?
お客さん:カクテルがいいんだけど、何を頼んだらいいか解らなくて・・・ 
バーテン:では、こちらでお作りしましょう。味の好みは?
(久しぶりに腕が発揮できるぞ!) 
お客さん:え~っと、お酒が弱くて~、すっぱくなくて~、え~っと、え~っと、 
バーテン:アルコールが軽くて、少し甘口のカクテルを作りましょうか。
お客さん: え~っと、甘くなくて~、え~っと、え~っと、
バーテン:炭酸は入ってよろしいですか?
お客さん:え~っと、少しぐらいなら~、え~っと、え~っと、
バーテン:では、ロングドリンクでお作りしますね。 
(イライラしながら作る)
バーテン:スプモーニです。イタリアの女性の間でよく飲まれているカクテルです。 
お客さん:あぁ、美味しい。
*バーテンダーとして一言・・・好みははっきりと。バーテンも暇じゃないんです。 
*バーテンダーのポイント・・・お客さんの服の色は大ヒント!
古い酒は注意
バーテン:いらっしゃいませ
お客さん:久しぶりやろ。海外のロケでな。いいお酒かって来たで。 
       これでローボード(リビングにおかれているもの)もいっぱいになったわ。 
バーテン:えっ!もしかして
お客さん:一番最初の海外での仕事に行ったときに買ってきたウイスキーは、30年ものになってるで。 
バーテン:30年前に買われたからですか?
お客さん:そうや!一緒に飲もうか。ハハハハ(笑い) 
バーテン:お客さん、大変に失礼ですけど、そんなの価値はありませんよ。
お客さん:なに!(怒り) 
バーテン:ウイスキー(ブランデーも同様)は瓶詰めした段階で100%の味に仕上げてあります。 
       ワインなら温度管理されているところに置いておくと味が伸びることが
       ありますが、 ウイスキーは年々味が落ちていくだけです。
お客さん:そんな・・・ 
バーテン:とにかく、早くお飲みになられた方がいいですよ。
*バーテンダーとして一言・・・中身は早く楽しむべし!
中身は本物?
バーテン:ボトル空きましたね。次は何をキープされますか?
お客さん:この瓶、気に入ってるからなぁ。 (超プレミアムのウイスキー) 
バーテン:同じ銘柄にしましょうか? 
お客さん:一番安いやつでいいわ。それをこの瓶に移し替えてくれへんか? 
バーテン:それはちょっと出来ませんね。 
お客さん:某ホテルでは、やってくれたぞ! ほんで、一緒に行ったやつは、
       「こんな高級な酒、キープされてるんですか。じゃぁ、ストレートで。 
       う~ん、これは旨い!」て、100人ぐらい騙し続けたわ。ハハハハ(笑い) 
バーテン:まぁ、ホテルやし、味の知らないと言うか、値段で飲んでる日本人には、
       信じ込んでしまうんでしょうね。 今でも続けてはるんですか? 
お客さん:ある時、ちょうど飲んでる最中にボトルが空になったんや。
       そのとき、「いつも通りで!」て言ったら、 
       若いボーイが、お客さんの前で移し替えよってなぁ。
       それで、ばれてもうてんけどな。 
バーテン:酒に復習されたんですわ。きっと。 
お客さん:ココは大丈夫やろう。中身を移し替えといてや。 
バーテン:ココでは出来ません。また、復習されますよ。 それに、作り手に対して
       失礼ですやん。そんなことようしません。 
お客さん:なんや!けちくさいなぁ。
*バーテンダーとして一言・・・本物が分かる人になりたいねぇ。
マザコンには、これ
バーテン:いらっしゃいませ(ルンルン) 
お客さん:今日は、やけに嬉しそうやなぁ。 
バーテン:実は、待望の子供が出来まして。 
お客さん:そうか。それは目出たい話やなぁ。けど、過保護に育てんように気を付けや。 
バーテン:何かあったんですか? 
お客さん:先週、新入社員の配属が決まって、俺の部署に来た奴がどうしようもなくて。 
       親離れせぇへん息子というか?子離れせぇへん親というか? 親元から通ってるんや。
       帰り飲みに誘ったら、一々、電話しよる。奥さんならともかく。 
バーテン:へぇ。今時、珍しいじゃないですか? 
お客さん:一回連れてこようと思ってんねんけど。その時は何を飲ましたろうかなぁ。 
バーテン:とっておきの酒がありますから、いつでもどうぞ。 
お客さん:そんな酒、有んのか? 
バーテン:任せといて下さいよ。アルマニャックなんですけど、
       哺乳瓶を象った陶器瓶に入った酒があります。 
       デュカスタン・ファザーズ・ボトル。日本でも和歌山県でそれを真似た日本酒があったんですよ。 
(1954年フランス、時の首相マンデス・フランスが、
「国民はアルコールを飲まず、ミルクを飲むように。」と、 
奨励したのを皮肉って「大人の飲むミルク。」と販売した。) 
お客さん:それ、今日キープしとくわ!
(お客さんにボトルを見せるや、否や、) 
お客さん:これは、この乳首の部分をひねるんやな。おもろい、おもろい。フ~ん。
       何でもあんねんなぁ。 このまま、瓶を逆さにしゃぶりつきたいなぁ。 
バーテン:お客さんも、マザコンですねぇ。 
*バーテンダーとして一言・・・親から見れば一生子供
ビールあなたは瓶派?それとも缶派?
バーテン:いらっしゃいませ 
お客さん:それにしても、暑うてたまらんな。とりあえずビールや。
(汗タラタラ、、、) 
バーテン:新しい銘柄入ってますけど。 
お客さん:一回飲んでみよう。とにかく入れて。
(ビールをお客さんに出す) 
お客さん:ちょっとまてや。こんな所で缶ビールか? 
バーテン:やめときますか? 
お客さん:瓶は無いの。 
バーテン:お客さん:、新商品は缶と中瓶・大瓶しか発売されませんねん。 
       BARでは小瓶サイズしか扱ってませんから。
       (小瓶は主力商品と見なされて初めて発売される) 
お客さん:俺は瓶しか飲めへんから。缶はどうも錆臭いやろう。 
バーテン:何言うてますの。今の時代家庭では殆どが缶。求めやすく 捨てやすい。
       収納便利で場所いらず。 それにアルミ缶の技術もすごい伸びを見せています。
       錆臭いのは昔のイメージちゃいますか? 
お客さん:まあ、話の種に飲んでみるか。・・・旨い! 
*バーテンダーとして一言・・・ビールは新製品をねらえ!
とりあえずビール
バーテン:ご注文は如何なさいますか?
お客さん:とりあえずビール。 
バーテン:生ビールか瓶ビール、どちらになさいますか? 
お客さん:生ビールにしよう。 
(きめの細かい泡がモッコリ) 
バーテン:お待たせしました。どうぞ。 
お客さん:俺は泡が嫌いやねん。泡をすくってほかしてくれへんか? 
バーテン:お客さん:。ビールにとって泡は、大事なものなんですよ。 
       一気に飲み干されるんならともかく、
       要は、泡で蓋をするんです。 だから中身の味が損なわれないんです。 
お客さん:でも、上唇につくやろう。 
バーテン:美味しいものを味わうためには、それくらいのこと。 
お客さん:まぁ、そんならこのまま飲むわ。 
(グラスに泡の輪っかが二つ残る。エンジェル・リングとも言う) 
バーテン:お客さん、上手くのまれましたねぇ。 
お客さん:おぅ、旨かった。 
バーテン:違いますよ。このグラスなら三口で飲み干すのが理想なんです。 
お客さん:ず~っと、見てたんか? 
バーテン:ちゃいます。グラスを見ればわかりますよ。 
*バーテンダーとして一言・・・とりあえずと言う銘柄は無い泡はビールの命
ビールを陶器で?
お客さん:この前、××ではビールを陶器のグラスで出しよったで。 
バーテン:味はいかがでした?
お客さん:なんか、まろやかな感じがしたわ。でも、邪道ちゃうの? 
バーテン:まぁ、その店のスタイルですから、良いと思いますよ。 
お客さん:最近、家でも、そうやって飲んでんねんけど。 
バーテン:もともと、グラスよりは陶器の方が熱を伝えにくいですし、 
       予め陶器を冷やしておけば、長く温度が保てますし。 
お客さん:冷たかったら、まろやかにはならんと、キリッとしたままちゃう? 
バーテン:陶器はグラスより表面に多くの気泡が有りますから。 
       酸化すると当然、味がまろやかになる。
お客さん:やっぱり、空気に触れると変わるねんぁ。 
       スーパードライがモルツ見たいになったもんなぁ。 
バーテン:なんぼなんでも、そんなには、変わりません。
*バーテンダーとして一言・・・演出で味も変わる
ダイヤモンド?
お客さん:おっ。それ抜いて。
(静かに抜染する。そのコルクをお客さんに差し出す。)
お客さん:なんやこれ!コルクの先がピカピカ光っとるで。 
バーテン:良いワインに当たりましたねぇ。 
お客さん:そんな事言うて。こんなん見たこと無い。大丈夫なんか? 
バーテン:これはワインのダイヤモンドです。 
お客さん:ほんなら高く売れるんか? 
バーテン:いやいや、酸性酒石酸カリウムの結晶ですわ。 
お客さん:毒物混入みたいやなぁ。 
バーテン:昔ながらの作り方をしている醸造者のワインにたまにみられます。 
お客さん:そのコルクもらって帰るわな。 
バーテン:まあまあ、その前にしっかり味わって下さい。 
お客さん:うん、旨い。 俺なんか家でワインを開けるときは、コルクが途中でグシャグシャに割れるから、 
       今まで気付けへんかったんやなぁ。 
バーテン:そんなにあるもんでも無いけどね。 
*バーテンダーとして一言・・・酔っぱらってなくさないように
軽トラックのタイヤと一緒
お客さん:昨日は大変やったぁ。 
バーテン:どないしはったんですか? 
お客さん:晩飯に、もらった高級シャンパンを開けた時や。 
       口に付いてる金具を外したとたん、ポン!ってコルクが飛んで 
       ダイニングのシャンデリアに命中してなぁ。 
       おかずの上にパラパラパラって降ってきて、食べられんようになってん。 
バーテン:それはそれは、災難ですね。 シャンパンのガス圧は、
       軽トラックのタイヤのガス圧と同じぐらいですからねぇ。 
       でも、目とかに当たらんかったから、よかったですね。 
お客さん:あんなにゆるいもんか? 
バーテン:それは一本一本違います。だからこそタオルや布巾を被せて慎重に抜くんです。 
お客さん:結婚式なんかでは何人ものウエイターが気軽に抜いてるのになぁ。 
バーテン:本当は音を立てないのがベスト。お祝いの席では、しょうがないけど、 
       シャンパンの味のバランスが狂いますから。 
お客さん:そんなデリケートな酒なんか。 
バーテン:また一度、挑戦してみてください。 
お客さん:もうシャンパンは、抜かん。 
*バーテンダーとして一言・・・シャンパンは凶器!  
肉料理に赤ワイン
バーテン: お待たせいたしました、さいころステーキです。 
お客さん: やっぱり、赤ワインかなぁ。 
バーテン: はい。すぐにお持ちします。 
お客さん: うん。良く合うなぁ。 
バーテン: そうですか。 
お客さん: 君ならこのステーキに何を合わす? 
バーテン: 私はワインだったら辛口のしろですね。 
お客さん: えっ、肉には、赤って決まってるやん。 
バーテン: お客さん:の好み通りに塩胡椒で焼き上げて、レモンを添えてありますから。 
お客さん: 素材が肉だったら赤でいいんちゃうの。 
バーテン: 好みですから。でも、私の基準は、ひと味たしたいとにレモン・酢橘などの 
       柑橘系を使うときは、魚・肉に関係なく白が多いです。 
       また、ハーブやクリームを使う料理は赤がいいですねぇ。 
お客さん: そうか、今でもレストランに行けば、魚料理に白を、肉料理に赤を薦めに来るで。 
バーテン: 確かにそうですね。売上のノルマもありますからね。 
       一品一品、違う酒を売ればそれだけ儲かりますから。 
お客さん: ほんなら、俺みたいな客は、カモか。 
バーテン: まあまあ、ご自分でいろいろ試されたらいいんじゃないですか。 
*バーテンダーとして一言・・・味覚は人それぞれです。
コルクが…
お客さん:この間、家でワインを抜いてんけど、グシャグシャ。 
バーテン:古いワインやったんですか? 
お客さん:1996年と、書いてあったと思うけど。 
バーテン:瓶を立てて置いといたんですか? 
お客さん:いや、君に言われてからは、ちゃんと寝かしてあるで。 
バーテン:スクリューを指したとき斜めになってなかったですか? 
お客さん:スクリューは真っ直ぐやったけど。 
バーテン:けど? 
お客さん:ちょっとガリガリっていってたなぁ。 
バーテン:それ、真ん中に入ってない。瓶にあたってるんですよ。 
お客さん:奧まではちゃんと入れたで。 
バーテン:いっしょですわ。
お客さん:結構、力がいった。 
バーテン:当たり前です。 
お客さん:途中で割れてもうて。また指したら、中に落ちた。 
バーテン:中に落ちたコルクは? 
お客さん:なんぼ、取ろうとしても取れへんので、そのままついで飲んだ。
       家族にはぼろくそ言われるし、コルクが浮いて飲みにくかった。 
バーテン:そういう場合は目の細かい茶こしとか、 
       コーヒーのフィルターを使ってこさんとあきませんやん。
お客さん:あっ、そういう手もあったなぁ。 
バーテンダーとして一言・・・ソムリエナイフは十年早い。使いやすい物を。 
*バーテンダーのポイント・・・最近のコルクの質は悪い。
水のこだわり
お客さん: 水割りにして。 
バーテン:かしこまりました。 
(お客様は、スコッチウイスキーの銘柄にはかなり詳しい。
 いつもスコッチをキープして、飲んでおられる。) 
お客さん:おい、待て!水割りやぞ!それはなんや。 
バーテン:水です。騙されたと思って、一度試してみて下さい。 
(スコッチ+スコットランドの水・スコッチ+日本の水2種類を用意する。) 
お客さん:う~ん。飲みやすい。Bはガツンとくるけど、味わいも深い。確かに旨いよなぁ。 
       また、俺に高いスイスキー売りつけようと思ってるな。 
バーテン:ちゃいます、今作ったん、見て張りましたやん。 
お客さん:その青いペットボトル、何や? 
バーテン:やっと、気付いてくれましたねぇ。 
       これは、スコットランドの水でハイランドスプリングって言います。 
       1993年のスコッチウイスキー500年祭で作り手達が公式に認めた水ですわ。 
お客さん:ほんなら、その水で作ってんのか? 
バーテン:これで直接作るわけではないですけど、一番ふさわしい水なんです。
       母体の水と言う訳ですわ。 
お客さん:親子丼と他人丼の違いみたいなもんやな。 
バーテン:ちょっと違うけど、つまり、ミネラル分が合致するため、 
       味わいを100%出すと言うことです。 
お客さん:そうか、普段はウイスキーにはこだわってるけど、水まではなぁ。 
バーテン:これからは、これで割りましょうか? 
お客さん:おぅ!頼むわ。 
*バーテンダーとして一言・・・わざわざ、不味くして飲むなんて。 
*バーテンダーのポイント・・・日本のウイスキーは日本の水で!
マドラーは何処に
お客さん:このマドラー何処に置いとくねん。 
バーテン:うちは、マドラー立て無いですからコースターの片隅にでも。 
お客さん:これは指したまま飲むもんか? 
バーテン:指したまま飲んでみて下さい。 
お客さん:おっ、こぼしそうや。 
バーテン:外して飲んだ方が飲みやすいでしょ。 
お客さん:俺は、実験台か? 
バーテン:まぁまぁ、デコレーションを含め、飲みやすいように飲むのが一番。 
お客さん:この間、先がとがって格好ええマドラーを気に入って買ったとこやねん。 
バーテン:えっ。先がとがってる? 
お客さん:釘みたいにな。 
バーテン:本来、マドラーとは「かき混ぜる」ではなく、「押しつぶす」と言う意味がありますから、
       先が平らな物か球の物が望ましい。 
お客さん:ほんなら、偽物か? 
バーテン:まあ、家で使うには、ファッション的に十分ちがいますか。 
*バーテンダーとして一言・・・私は家で箸を使ってます。
氷のこだわり
バーテン: ロックでよろしいでしょうか? 
お客さん: オゥ。それにしてもこの氷で飲むから旨いんかなぁ。 
バーテン: クラックド・アイスですか? 
お客さん: それ氷の種類か? 
バーテン: 氷は大きさで名前が付けられています。 
お客さん: 出世魚みたいやなぁ。 
バーテン: 板氷1貫目(3.75Kg)を3~4等分するとブロック・アイス、 
       さらに握り拳ぐらいにするとランプ・オブ・アイス、 
       直径3~4cm ぐらいにするとクラックド・アイス、 このあたりが
       ロックなどには丁度良い。 3cmの立方体をキューブ・アイス、
       一般の製氷機の氷。 さらに砕くとクラッシュド・アイス、
       より小さな粉々になった氷を チップド・アイス、
       かき氷に使う氷をシェーブド・アイス。 
お客さん: いろいろ変わるねんなぁ。 
バーテン: まあ、これはあくまでも専門的になるので、要は、グラスに合った氷を
       如何に使うかと言うことですよ。 
お客さん:家では板氷なんか無いでぇ。 
バーテン:コンビニで買うことをお薦めします。 
*バーテンダーとして一言・・・美味しく飲むには氷だけ替えても無駄。 
*バーテンダーのポイント・・・氷は固まりかけては砕く事を繰り返すと透明度が増します。